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新宿のあるビジネスホテルの表と裏、光と影 No5
        2001/5/1 読者数 985+70名 by happylife
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 約200室の客室を約800人の小口オーナーに分譲された新宿
のあるビジネスホテルのオープンから運営会社の倒産、乗っ取り屋
の出現、自主運営、被害者を誘惑する罠など、その経緯、表と裏、
光と影を紹介します。

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 今回はホテルに関するちょっとした豆知識や経営の実情なども紹
介しながら説明したいと思います。(業界の人なら「当り前だ」と
言われる内容かも知れませんが一般の人なら知らない事もあるかと
思います)
 おそらく、説明文からこういうホテルの実態を知りたいと思って
申し込まれた方が多いと思われますので、法律的な問題もあるので
実名をあげるのは控えさせていただきますが、話を面白くする為の
作り話は加えずに、できるだけ事実を伝えて行きたいと思います。
作り話をすれば話も面白くできるのでしょうが、事実だけを書いて
わかりやすく面白い内容にするのも難しく、発行間隔も長くなって
いますが、その辺は気長にお付き合い下さい。
 一個人が事実をすべて確認する事は困難で、事実が確認できてい
ない部分は曖昧な表現になる事をご了解願いたい事と思います。
 前記の通り法律的な問題もあるので「現実とフィクションを織り
交ぜたストーリー」という事にしておいて下さい。
 バックナンバーは下記の U.R.L. にありますので、新規登録者は
参考にして下さい。
http://www.my-web.ne.jp/~resort/vin

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【前号までのあらすじ】
 ’86年頃、「年約6%の利回り」という宣伝文句で新宿コマ劇
場の北、大久保公園前のビジネスホテルを一般の人に小口販売しま
した。しかし、宿泊代収入だけで家賃を支払うのは、かなり困難で
販売価格の一部を家賃の支払いに充てていたと思われ、その資金が
底をつくと販売会社兼運営会社は倒産への道を歩む事になります。
 販売会社兼運営会社が倒産後、一時、ホテルは乗っ取り屋に占拠
されますが、その後、自主運営にこぎつけますが、倒産による悪評
や不況もあり、ホテルの稼働率は低下し、家賃は当初の6分の1程
しか払えなくなりました。その中で「自分だけは多くの収入を上げ
たい」と考える人間が出てくるものです。
 ホテルの運営会社の社長となったのはオーナーでもあり、また、
理事会の理事でもある人で、多くのオーナーの人たちは家賃収入が
約6分の1になり、ローンの返済に困っている中で、ホテルの運営
会社の社長になって1000万円近い給料を受け取っていた。
 「訴訟をすれば勝てるので、ローン返済を止めて、ローン返済の
約3か月分の弁護士費用として払えばよい」という勧誘もあった。
 旅行代理店に宿泊客の募集をすると12〜15%の手数料を払っ
ているのでオーナーが宿泊客を紹介した場合もオーナーにもいくら
かの報酬を払う事を提案しても理事会はなかなか受入れなかった。
 ようやく、理事会もオーナーが宿泊客を紹介した時にオーナーに
報酬を払う事を承知したがその報酬は旅行代理店への手数料の半分
以下の金額しか承知しなかった。オーナーは家賃収入が約6分の1
になり、ローンの返済に困っている人も多く、旅行代理店を儲けさ
せるよりオーナーへの還元を多くした方が良い筈なのに、どういう
訳か、それを認めようとはしなかった。
 ホテルの稼働率を高くする為にアジアの観光客にダンピングして
宿泊客の募集をしているが、アジアの観光客の苦情を社長に進言し
てもホテルの運営会社の社長は耳を貸そうともしなかった。

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【ホテルとは?】
 ホテルと言っても「ビジネスホテル」「シティホテル」「リゾー
トホテル」「ラブホテル(ファッションホテル)」など色々な分類
の仕方をします。
 さて、ここでクイズです。普段、何気なく前記の様に色々な分類
の仕方をしていますが、分類の仕方の中に法律的に厳密に定義され
ているものがありますが、それはどういう分類の仕方でしょう。
 答えは「ラブホテル」と「それ以外の一般のホテル」です。一般
のホテルの中で「ビジネスホテル」「シティホテル」「リゾートホ
テル」という分類をしていますが、それは「街の中にあって交通の
便利が良く、シングルの部屋が多く、宿泊料も比較的安いホテルを
ビジネスホテル」「街の中にあってシングルの部屋がないか少なく、
宿泊料も比較的高いホテルをシティホテル」「郊外のリゾート地に
あり、シングルの部屋がないか少なく、宿泊料もやや高いホテルを
リゾートホテル」と「通称」呼んでいるだけで、その区別に厳密な
定義はないでしょう。(例えば、東京ディズニーランドの周辺にあ
るホテルは「シティホテル」でしょうか? それとも「リゾートホ
テル」でしょうか?)
 所が「ラブホテル」と「それ以外の一般のホテル」は法律的に義
務付けられている内容が違います。その中でも大きな違いは「一般
のホテルには食堂(レストラン)の設置が義務付けられているが、
ラブホテルでは食堂の設置の必要はない」という事です。
 実は、このホテルに付帯のレストランの収益によりホテルの収益
が左右されると言われるほど重要であり厄介な存在でもあります。
 特にビジネスホテルでは一般的に交通の便の良い街中にあるので
近くにファーストフードの店もあるし、コンビニでお弁当を買うと
いう人も多く、宿泊客はあまりビジネスホテルのレストランで食事
をしようとしません。
 そこでビジネスホテルは人通りの多い繁華街やビジネス街に多い
ので、一般の人も利用できるレストランを併設して、基準を満たし
つつ収益を上げようとしているビジネスホテルも多いです。
 人通りの少ない所にあるビジネスホテルではそれができないので
苦肉の策としてパンや飲み物の自動販売機と食事ができる椅子とテ
ーブルを置いて食堂(レストラン)設置の義務をクリアーしている
所もあります。
 ラブホテルの中には(ラブホテルの許可が下りないので)一般の
ホテルとして申請して実際にはラブホテルとして営業している所が
ありますが、この場合も外部の人が利用できるレストランを併設す
るか、パンや飲み物の自動販売機と食事ができる椅子とテーブルを
置いている筈です。一般のホテルとして申請して実際はラブホテル
として営業している所のもう1つの見分け方は「フロントが小さな
窓で鍵やお金の受渡しをするか?」「小さな窓ではなく、フロント
クラークとお客が顔がよく見える状態で鍵やお金の受渡しをしてい
るか?」の違いからもわかります。一般のホテルでは小さな窓だけ
で鍵やお金の受渡しをする事は禁じられています。

【レストランの問題】
 さて、本題の新宿のビジネスホテルの話に戻りますとレストラン
について2つの問題を抱えていました。
 一応、このホテルでも外部のお客も利用できる形でのレストラン
を設置していましたが少し繁華街から離れていて人通りもやや少な
い所にあったので外部のお客の利用は少なくレストラン部門で赤字
を抱えていたという事。
 次に、ある会社がこのホテルを建てて、客室を約800人の小口
オーナーに販売した訳ですが、レストランを地下駐車場は販売せず、
この会社の名義のまま会社は倒産してしまったのです。このレスト
ランと地下駐車場の部分には抵当権が設定されていて、会社が倒産
したとなると、いずれは競売という形で第三者に処分される恐れが
あるという事です。(競売で落札されるまではホテルがレストラン
と地下駐車場を使う事はできました)
 前記の通りレストランがないとホテルとして営業ができなくなる
ので赤字でもレストランを閉鎖する訳にも行かず、また、競売で第
三者の手に渡ったら、これまた、ホテルとして営業できなくなるで
しょう。前記の苦肉の策のパンや飲み物の自動販売機と食事ができ
る椅子とテーブルを置いておくという方法も考えられますが、それ
をすると、どうしても貧弱となり、ホテルのランクも下がってしま
うでしょう。
 そこで選択を迫られる訳です。つまり、「レストランを廃止して、
パンや飲み物の自動販売機と食事ができる椅子とテーブルを置いて
おき、ホテルのランクが下がっても宿泊代を安くして収益を上げる」
という考え方と「レストランを維持してホテルのランクは下げない」
という考え方です。
 前者の決断が出来ず、とりあえず、今までホテルがコックやウェ
ートレスを雇って、直接、運営していたのを、業者に委託して運営
する形に切り換えました。しかし、業者に委託したからと言って、
業者が魔法を使える訳でもないので、急に赤字を黒字に変えるのは
難しいでしょう。結局、質を落としてやりくりせざるを得ない訳で
前号のアジアの観光客から「食事は酷い(まるで豚の餌)。ホテル
マンは挨拶もせず、対応が悪い」と酷評されたのは業者に委託した
後での出来事です。ホテルもレストラン運営の業者に苦情を言うと
「それなら撤退する」と言われるのが恐いので、あまり強く苦情も
言えない状態でした。
 さて、もし、皆さんがオーナーの1人だったら、どういう選択を
したでしょう。「ホテルのランクが下がるのを嫌ってこのままレス
トランを維持し続けるか」「アジアの観光客にかなりのダンピング
をして、それで悪評ならレストランは廃止して、宿泊料を下げて、
稼働率を確保するか」という2つの選択ができる訳です。
 筆者なら後者を選択するでしょう。しかし、このレストランをめ
ぐって、さらに不可解な方向に話は展開して行きます。
 この先は次号に続きます。

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